米作りにおける三つの律速
いかに効率的に生産するかということを考える経営工学というものがあります。
経営工学では、全工程の中で、全体の効率(速さ)は、一番時間のかかる(遅い)工程の効率となるという性質が知られています。その一番時間のかかる(遅い)工程のことを律速(りっそく)といいます。本来は化学反応に使われる言葉ですが、これは、日常のあらゆるところで適用されます。
米作りにこの律速の考えを当てはめてみます。突き詰めて考えれば、各工程ごとに律速となる作業があるわけですが、それは、別の機会に議論しようと思います。まずは、1年という全体のラインの中で米作りをすると考えた際に律速となる工程について議論したいと思います。
私が考えるに三つの律速があります。律速が三つもあるというのも厳密にはおかしいですが、一番時間のかかる工程の三つぐらいに考えてください。
- 畦の草刈、もしくは、田の草取り
- 稲刈り時の米の乾燥
- 米の売り先を見つけること。
1の畦の草刈もしくは田の草取りについて
畦の草刈りはトラクターやコンバインのように大型の機械では出来ず、ビーバーを持って刈るぐらいしか有効な方法がないため、時間がかかります。特に1枚1枚の田んぼが小さい中山間地の田んぼほど、刈る面積が広く、時間がかかります。また、形も不確定であるため、機械に任せるのも難しいでしょう。そして、田植えしてから、稲刈りするまで、約3~4回畦の草刈をすることが望ましいとされています。
人を雇うという方法が現実的な解決方法でしょうか。
ちなみに畦の草刈をする理由は、カメムシの発生を抑えるためです。カメムシは、米が出来かけの柔らかい時に汁を吸い、その米を斑点米にしてしまいます。カメムシは草むら(特にイネ科の植物)に生息するため、草刈をすることでカメムシの住処を米の近くから離してやります。
2の稲刈り時の米の乾燥について
稲刈りの際に、コンバインの性能以上に律速となる要素があります。それが、米の乾燥させる速さです。コンバインの刈る速度はどんどん上がっています。しかし、乾燥機の性能は、その速さに追いついていません。正確に言えば、追いつかせていないともいえます。急速に米を乾燥させるのは、米の味に影響するため、乾燥させる速度を上げ過ぎることは、しないほうが良いでしょう。
乾燥させる速さをあげることが難しいのであれば、乾燥機を大きくする。乾燥機の自体を増やす。貯めておく米びつを増やすなどの方法が考えられますが、これらを行うには、施設自体を新たにつくるか、改装しなければ難しく、そう簡単に出来るものではありません。
3の米の売り先を見つけることについて
経営において、ものを作るということと、ものを売るということは、同じぐらい大切なことだと思っています。規模を拡大すること自体は、難しいことではないです。しかし、それだけ売り先を見つけてくるとなると、とたんに難しくなってきます。結局は、売り先を見つけてこない限りは、規模を拡大する意味はなく、売り先をみつけることも律速の要因となってきます。
律速について考えることは、効率化を行うだけでなく、規模の拡大を行う際にも、どこから手をつけるか決める指標となります。農家は、大学も出れるぐらいだからやる価値もある。そう思えてきますね。
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ただし、現在は、卒論を書く時間を確保するために休止中。